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革の個性について知っておこう その2

色ムラとは

革製品には、本来の色がそのままになっているものと、染料で染めたものがある。
染料は人間が加工するため、厚さや繊維の密度が場所によって異なる革には色ムラができてしまうのだ。

本革は動物の体という、自然界で生まれたものを使っている。
革の持ち主の性別、年齢、育った環境、種類、身体の部位などで、形や厚さ、きめ細やかさが大きく異なる。
そのため、まったく同じ形の木が2本と存在しないように、まったく同じ模様、厚さ、繊維、しわを持った革は2枚と存在しないのだ。

したがって、染めるときに出来る色ムラも唯一無二のものになる。
これは本革製品にのみ見られる個性だ。
たとえ同じメーカーの同じ製品を買っても、その表情はまるで違うものになる。

ただ中には、この色ムラが気に入らず、できる限り全て均一に染色されている製品を好む人もいる。
こればかりは個人の好みの問題になるだろう。
同じ革製品でも、染色することで表情が変わるのは、革製品ならではの面白さだ。

ホクロとは

革製品のホクロとは、その名のとおり皮膚に付いているホクロだ。
人間の体にも付いているあのホクロである。
ホクロはメラニン色素を作るメラノサイトという細胞が変化して出来るものだが、動物にも同じようにホクロができる。

ホクロの位置は当然コントロールできないので、ホクロが唯一無二の模様になるのだ。
天然素材の本革を使うからこそ楽しめるところだろう。
また、染色のやり方によって、ホクロの濃さが変わるのも革製品の面白いところだ。

クラックとは

クラックとは「ひび割れ」のことだ。
加工の過程、特に縫製時に、革の表面が割れることによってできる。
革以外の製品ならば不良品として廃棄されるか値を下げられて売られるところだが、革製品は違う。
このような傷も、その製品の個性として扱われるのだ。

もちろん、新品として買うのにひび割れが入っているのは嫌だ、という人も多くいる。
しかし多少のクラックであれば、ダメージ加工のようなデザインの一種としてみなされ、むしろ人気が出ることもあるのだ。
このような不完全さが魅力になるには、他の素材には見られない革製品の特殊なところだろう。

自然に任せたデザインが革製品の魅力の1つ

化学素材で作った製品なら、人間が思った通りにデザインすることができる。
しかし自然が作り出す様々な模様は、人間の想像力や芸術的な能力を軽く凌駕することを私たちは知っている。

大自然が作り出した革の模様を人間の手で1つの作品に仕上げていく行為は、自然と人間の合作と言ってもいいだろう。
人間の能力ではコントロールできない、半ば運任せな美しさが、革製品がここまで長く多くの人に愛される理由なのだろう。