革の耐久性を左右する要素とは
レザーパンツや革ジャンなどに代表される革製品の最大の売りは、その耐久性だ。
手入れを怠らなければ、10年以上も形が変わることなく使用できる。
しかし、革製品だからと言って全てが高い耐久性を持っているというわけでは無く、革の種類や加工の手順によって耐久性には差が出る。
革製品の多くは牛の革を使用しているが、実は牛皮の耐久性は牛の育ち具合で変わるのだ。
基本的には、年齢が高い牛から取った革の方が頑丈で長持ちする。
大人の牛の肌は子牛よりも荒くザラザラしており、倍近い厚さを持っているため強度が高い。
一方で、子牛の肌は未発達で薄いので耐久性では劣る。
ただ、子牛の革はツルツルとしてやわらかいので、肌触りや見た目が滑らかになるというメリットがある。
なめしのやり方でも、耐久性に違いが出る。
なめしとは、原皮を柔らかくし、素材としての「革」へ加工することだ。
このなめしの作業では、植物成分の「タンニン」、もしくは金属成分の「クロム」が使われる。
耐久性が上がるのは、クロムを使ってなめしを施された革だ。
クロムで加工された革製品には、タンニンよりも10倍近い強度が生まれる。
しかしクロムで加工された革製品は劣化が遅いため、革製品特有の味のある色あせが出にくいという欠点がある。
ビンテージ感を演出する色あせは、タンニンの力に由来しているところが大きいのだ。
なめし方も耐久性に影響を及ぼす。
なめしの手法には、大きく分けて「ドラムなめし」と「ピットなめし」がある。
ドラムなめしでは、ドラムの中に革となめし剤をいれ、洗濯機にように回しながらなめしていく。
ピットなめしでは、プールのような入れ物の中になめし剤を入れ、その中に革を漬け込むことでなめしを完成させる。
耐久性が上がるのが後者のピットなめしだ。
革が無駄に動かされることが無いので、もともとの固さを維持することができる。
革に色をくわえる「染色」の工程があるが、ここでも耐久性が分かれる。
染色されていない革の方が、耐久性が高い。
革に色をくわえるには革をほぐして柔らかくしなければいけないが、その過程で革の繊維がほぐれ、弱くなってしまうのだ。
まとめると、大人の牛の革を使い、クロムを使いピットなめしで加工を施され、色が付いていない革製品がもっとも頑丈ということになる。
「厚さ」と「耐久性は」比例しない
厚さがあればそれだけ頑丈、と考えるのが普通だろう。
しかし革製品に限っては、そうとも言えない。
というのも、革は「銀面」と「床面」の2層構造になっている。
革の耐久性は銀面の頑丈さによることころが大きい。
そしてこの銀面は、いくら分厚い革でも1.5mm以上の厚さになることは無い。
床面がいくら厚くても、それが耐久性につながることは無いのだ。
つまり、1.5mm以上の厚さの革の耐久性は、どれも変わらないということになる。